視聴理由
2の特典DISCまで読み終わり,最後まで面白かったのでわくわくの慣性に身をゆだねて初代のアニメを視聴することにした.
感想
アニメとして完成度が高く,面白かった.2とはライターが違うこともありますがかなり内容が異なっていた.1はシンプルに浮気症の主人公.粉の大安売りである.世間では某芸人が浮気で問題になっているので,絶妙なタイムリーさで笑った.2では一度決めたらそれなりに決意は固い主人公さんである.思い人はずっと固定されているが.1の主人公が全て悪いかというと一概に悪いとも言い切れないところがある.メインヒロインの由崎がアイドルであるがゆえに会えない.会っていないことを自覚していき,ほかの女性で心を癒そうとする.そういう感情は抱くことがないのでよくわかりませんが,そういう衝動に駆られるのもわからなくもない.某芸人さんもなかなか時間の都合を合わせるのが難しかったのかもしれない.心の声をそのまま画面上に打ち出す演出が独特で面白い.ビジュアルノベルのアニメであることを感じることができた.ただ,色合いや大きさが原因で読みにくく感じることが何度かあった.時代が携帯電話の普及していない1986年の設定(1)なので,すれ違いがより深刻なものとなっていて新鮮で面白い.確かに現代ではネットワークの上で四六時中繋がっているためにむしろ気疲れするほどである.また,アイドルに対して卓越した能力を評価することからも時代背景を感じることができる.現代ではネットワークの発達や情報・ノウハウの蓄積によってより素晴らしいアイドルが生まれそうなものだが,台頭しないのは現代のアイドルに対する意識感が阻害しているからだろうか.私個人は圧倒的な能力のアイドルの方が惹かれるし,好きだ.それに関していえば理奈派である.理奈の悠然としたふるまいや彼女のもつ能力の高さ,恋愛に積極的な態度がかわいい.サイドアップの縦ロールからは少しあたりの強いクールさを感じていい.
主人公の問題
優柔不断.状況に流される立場.前者に関しては最終的に決断できたようです.ただ判断材料が少し乏しいようにも感じる.空白の思い出で決意するのはどうなのだろうか.あるいは自分の過去に抱えたなにかのメタファーなのだろか.後者に関しては主人公が立場的に上り詰めるわけではなく,チャンスを虎視眈々と待つ方法だったのでストーリーに心をぐっとつかまれなかった.しかし,時にチャンスは待つことも大事であると思う.
物語の問題意識
特に感じない.挙げるとするなら自分の柵にけりをつけること.ヒロインの問題一つ一つを解決して最終的にゆきの問題を解決する構図なので,自分のなかに溜めてあった言葉を吐くことが重要であったのは間違いない.
面白さ
シナリオもいいですが,それ以上に動画が引くほど動く.群像劇では基本的に一点透視系の動きで事足りますし,実際多くの場合平面的な動きしかしません.しかしこの作品では動きの必要がない場面でもよく動きます.そういう生き生きとした人間らしさをひしひしと感じるアニメなので,負けヒロインへの感情移入をより深くできると思います.また,物語のキーとなる部分ではアナログ感のある動画が挿入されます.吉成鋼さんの仕事の素晴らしさに圧倒されます.別のタッチが要点で挿入されるため印象的に記録され,物語をしみこませる作用に一役買っていると思います.またこういう動画が個人的な嗜好にあっていていい.そしてこういう工夫,手の込んだアニメは愛を感じていい.2でもそうでしたが,音楽がいい.OPは前半も後半も映像を含め素晴らしい.魅力的なヒロイン.ただ全員初期状態から惚れていることはなんとも悩ましいところである.
参考