【構図講座】シナリオを引き立たせるための絵作り(1)

 イラストを早く良く見せることが重要である。見せるものは絵ではなく、あくまでシナリオである。

 イラストは活字では書ききれない舞台と感情を描く。感情に関しては活字と相談しつつ、描いたり描かなかったりする。そこのバランス感覚は自分で設定することができるが、顧客層にフィーチャーすることを第一とするべきである。シナリオをよりわかりやすく・共感しやすく・面白いものにするための絵なのである。

 活字とイラストの感情の向きをそろえることには繊細になるべきである。活字とイラストの向きがそろっていない時、物語に真実を感じることができない。それによって興が覚め、結論を前に物語世界から離脱してしまう。最後まで見てもらって初めて意味のあるシナリオとなる。イラストは離脱させないためのアイキャッチともいえる。

 時間は限られており、ますます競合の質の向上を感じる。時間の制約を考えずに制作するわけにはいかないし、ベターな絵でもいけない。限られた時間の中でベストな絵を製作することが問われている。


●ベストな絵を描くためにはどうするべきであるか?→顧客にとってのベストを尽くす
顧客は絵のなにを見たいのか?
顧客が見ているものは雰囲気である。
雰囲気は構図・色・状況である。
デッサン力や写実性は脱落を招く要素である。であるから本質的に見たいものではない。
また、雰囲気にとって非常に重要なことは一貫性である。
作品の中で雰囲気の変化が起こると緊張状態になる。
アイキャッチであるから、興の覚める原因となる。
その点を踏まえたうえで使うと非常に劇的な効果が期待できる。

 構図・色について2回に分けて解説しようと思う。ただし、それぞれが独立していると考えるのは好ましくない。全体を俯瞰しながら作ることが一貫性を保ち、いい絵を作ると確信している。

今回は構図について説明する。
 構図を作るうえで重要なことは何を描く必要があるのかを明確にすることである。それが明確であるほどに描く構図の選択肢が驚くほどに少なくなる。厳密にはそれでも絞り込むことは難しいが、「伝わる」構図の場合、ある決まった公式のようなものの中から選択される。厳密には決まった公式の中から選択されているから「伝わる」のである。
 描くものを明確にするときは心情と舞台をまずは第一に考え、次に線の効果による状況の伝達を考えるとよいだろう。

●構図は真ん中に近いほど伝えたい情報の密度が多いことを基本としている。
 端に重要な情報を置くことは少ない。むしろ意識的に行わない限りは配置することが難しい。

●構図はものの連続から情報を伝えることを基本としている。
 「人→モノ(人)→舞台」など。自分の考えた構図の定型を持っておくと楽である。
 文章を作ることと似ている。そのため状況を言語化すると構図が定まる。

●構図を作る際に容易に導入できる古典的テクニックを挙げる。
1.線には引力があり、それを利用してリーディングラインを作ること。
2.大きなコントラストには引力がある。一番大きなコントラストは入口になる。
3.グラデーションなど、連続的な変化には引力がある。

ここからは拙作を使って説明する。

 上のイラストは部活勧誘でステルスマーケティングする場面のイラストである。


①立場の関係性
 左側の女性は1年生で、ターゲットである。中央の女性は2年生である。しかしここで、中央の女性は身分を隠して1年生であるかのようにふるまっている。そのため2者の身分は水平線上でおおよそ同じ高さに設定してある。だが1年生の方から顔は見えていない。また、タイ色から身分の違いを記号化している。

②感情の伝達
 繰り返しだが、このシーンではステルスマーケティングを行っている。そのため、1年生に関心を与えるために明るい雰囲気を醸し出していることを示す必要がある。
 ここで使うツールは人と人の距離感が親密さを示す事象である。中央の女性と右側の男性は胴が見切れているのに対して、右側の女性は胴まで映っている。
ここから、中央・右側の人物をにぎやかな雰囲気にし、左側の人物に心的距離を与えている。ちなみにソーシャルディスタンスが定着したらこれも覆ってしまいますが、どうなるのでしょうか。

③構図パターン
 絵は用いても、なるべく物語を阻害したくない気持ちがある。そのため私は目線の軌道が一筆書きで終わるような構図に仕上げたい。
 また、ぱっと見で伝わる構図パターンを作るときに指標になるツールは、画面の分割である。分割にはいくつか種類があるが2、3、4分割と対角線、ラバットメントを覚えておくとまず問題ないだろう。
 そして今回の場合は三分割である。ただし線上に配置せず、格子の中収まる体系である。それによってそれぞれが別の属性を有していることを示している。
 当然、一筆書きで見終えることができる。

続けて拙作から説明する。

 上のイラストはテーマが立場の違いによる見え方の違いを明らかにするシーンである。つまりメッセージのパートである。


①立場の関係性
 左側の女性が右側の女性に対してマウントを取る状況を示したい。そのため右側の女性の方が高く配置されている。

②感情の伝達
 ここではメッセージを伝えたいので右側の女性の顔が見えないようになっている。つまり視聴者に対するものであることをしめしている。
 右側の女性は左側の女性にマウントを取られたことによって不快であることを示している。

③構図パターン
 ここでも、メッセージを伝えることを強調するために右側の女性は構図的に安定的でなく、外側に配置している。これによってモブと同等であると示している。
 右側の女性は4分割・対角線の線上に目が位置し、安定している。また、目線は右側の女性から離れることができないように分断している。つまり疑似的に主観を作っている。

参考

クライマックスまで誘い込む絵作りの秘訣 ストーリーを語る人のための必須常識:明暗、構図、リズム、フレーミング

絵を見る技術 名画の構造を読み解く

投稿者: beefst

機械工学,クリエイターをしています.読書も好きです.

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