私はリバーヴはオカルトじみていると常々感じています。細かい調整などは詳しくやってる人に任せればいいので、実戦レベルで使えるプリセットを構築することから始めようではありませんか。
リバーヴを知るにあたって、まず音響についての簡単な知識を紹介します。
①低音になるほど反響しにくくなり、高音ほど反響する
②反響によって周波数が小さくなる
③壁の材質によって減衰特性が変わる
④高音ほど保有するエネルギーが大きく、遠くまで伝わりやすい(音源との距離感を低域が規定していることを意味します)
また、リバーヴを考えるにあたって、イメージしていることは壁との距離感と音源との距離感です。リバーヴは空間の大きさを作るのではなく、壁との距離感を作ると考えた方がわかりやすいです。例えば、壁との距離が無限遠点であるとすればリバーヴはおおよそ無いはずです。イメージする部屋は人それぞれにお任せすることですが、基本的には小さな部屋をイメージすると良いと思います。聴者がリバーブ調整をする可能性があるためです。ライブDVDのようにスタジアムサイズで音を編集する場合もありますが、それは特殊なケースであると思います。以下は参考になるかもしれないリンクです。
以下は理論ではなくレシピなので、ご注意ください。
煮込み(リバーヴ)
リバーヴはEQと違って聴かないとわからない、聴いてもわからないという曲者です。なので設定と音源を見せながら変化を可視化していこうと思います。また、全体的に音を鳴らせる上にわかりやすいものとしてドラムの音源を使っていこうと思います。使用するのは相変わらずSUPERIOR Drummer 3です。付属EQを使ってますが、どのリバーヴでも同じようなパラメータが大体存在するのでご容赦ください。
①無処理
ややコンパクトな部屋で、残響はあまり感じない。下手にリバーヴをかけるくらいなら、何もしない方が間違いなく良いものになります。
②リバーヴ全開・フィルターなし

アウトプットにroomリバーブを刺しました。今回は図中のReverb項目については触れない・ディレイをかけないです。変えるのはTimeとEQです。IQ1でもできることですし、皆様も一度は通った道ではないでしょうか。
③EQの知識を活用

EQについてのみ変更を加えました。ローパスとハイパスです。100Hz以下はモッサリするのでカットするのでしたね。高域はうるさいので削るのでしたね。まだ今一つな印象です。
④タム系をリバーヴから除外

アウトプットに刺していたリバーブを金物、空間を録音するマイクに刺しなおしました。リバーブの内容は同じです。粒感が出たと思います。と、ここまではIQ3の方でも自然に思いつく内容なので、ここから少しリバーヴを彫り込んでいきます。
⑤リバーヴの修正1

ディケイ、EQについて変更を加えました。ディケイは残響です。残響が多く残っている印象があるので50%から25%に変更。小さくするごとにカラっとした印象になります。EQはダンピング周波数を2kHzに、ハイカットを4kHz、ローカットを400Hzに変更。これによって2k~4kHzの周波数の残響もありますが、すぐに減衰する系となります。ローは反響の周波数によって小さくなった周波数と重なり過密になることを避けるために400Hzまで引き上げる。400Hzだとコード感が浮き上がるようになることが推測されるが、ボーカルを浮き上がらせたいなら、もう少し上げてもいいかもしれない。この処理によってもわっとした雰囲気がやや解消されました。
⑥リバーヴの修正2

まず先ほど設定から、Wetの変更を行いました。Wetというのは原音とのブレンド具合です。100のままだと金物のアタックが完全に死んでしまうので、下げます。50%にしましたが、お好みで選択してください。また、タム類にPlateリバーヴを加えます。プレートリバーヴは反響を足すというより、原音を引き延ばすために加えると考えてください。この作業によって全体的な広がりを一致させ、アタックの強さを解消します。デフォルトから変更したものは、リバーヴタイムとWet。リバーヴタイムは0.50sec、Wetは20%。ここでは、全体の音場と比較して、かかったかどうかギリギリわからないところまで下げることを推奨します。
⑦EQ

リバーヴの後にもEQを刺しましょう。手順は前回のEQの解説と同様です。しかし、1kHzと2kHzにノッチフィルターはかけないです(あらかじめ削られている前提)。これのかかり具合もお任せです。ですがローカットとハイカットを忘れるとリバーヴでモアっとした印象を生む原因になるので気を付けましょう。
以上で解説を終了します。
次回
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