即売会は戦略ゲームである。
初めての即売会に参加してまず感じたことは、「これは勝てない」である。作品の質ばかり追求してあまりブースのことを考えていなかった(軽いネット検索で得た知見程度)。なぜ勝てないと感じたのかを説明していきたいと思う。
①持ち込んだもの
CD、風呂敷、イヤホン(現地調達)、フライヤー、ホワイトボード、コインケース、ハサミ、段ボール・雑紙、筆記用具、メモ帳、消毒を持ち込んだ。
ハサミ・段ボールはとても便利であるが、事前に準備を万全にしていれば必要性は薄い(とはいえ精神的に心強いので必須レベル)。また、ほとんど百均でそろえたのでコストはあまりかからなかった。
現地では、カッターも必要に感じた。風呂敷は足元が見えなくなるほど大きいサイズを用意すべきだと感じた。また、立てかけるためのものも必須だ(当日現場で作成した)
②他サークルの簡単な分析
売り方
空間を使った売り方をしていた。即売会のブースは想像以上に広い。縦をうまく使わないと横に広く感じさせてしまう。ただ横に広いと視線が流れるように過ぎ、歩きながら通過されてしまう。縦に広く使うと視線を動かすのに必要なエリアが単純に高さ分だけ掛け算で増える。必要なエリアが広いとその分視線を動かすのに必要な時間が増えるため、立ち止まらせることができる。我々のような無名サークルに必要なことは、まず人の足を止めることだ。
では、具体的にどのような方法で空間を埋めていたのか。それの一つは陳列方法である。陳列には大きく2種類見受けられた。用意した壁にくっつける方針と、棚を使って段付きで陳列する方針である。壁にくっつける方針は、百均にある格子状のワイヤーを使っていた。簡単な方法ではあるが、高さを簡単に稼ぐことができるように感じた。棚を使う方法では、わずかに奥行が生まれる。奥行があるため、ブースが程よくすっきりした印象に見受けられた。私は次回から、棚を使う方法を採用しようと思う。もう一つの方法はポスターである。ポスターは、強い。遠くからでもわかる・奥行を簡単に作ることができる・コスパが良いなど……。これも次回から採用したい。
頒布物
CD・楽譜・名刺・冊子・小物・その他の音楽系ギアなどが見られた。
歩行者を止めるだけではなく、コンセプトをわからせる必要がある。冊子はコンセプトをダイレクトに伝える手段としていいと感じた。また、どのような気持ちで制作に取り組んだのかを明示することができるのはいいなと感じた。
彩度
大規模なサークルはサークルスペースの彩度が強かった。視線は彩度が強い方から弱い方に流れるので、合理的である。また、遠くからでも認識されやすい。次回からはポスターにその役割を与えることにしたい。
売り子
すごくカワイイ。しかも複数人の女の子がいるサークルさえあった。愛想もいい。僕はカワイイ友人が一人もいないので、この問題を解決する方法がわからない。どうすればいいのだ。大手は一体どうやって売り子を雇っているんだ?
③不足していたもの
連絡先
名刺など必要ないだろうと高を括っていたが、普通に必要だった。せめて歌詞カードの面に連絡先を配置しなければならなかった。また、視聴のためにQRコードを導入していたが、ツイッターのリンクはQRコードに起こしていなかった。わざわざ文字を打たせる手間を与えてしまった。申し訳ない。
AV機器
視聴可能か、また視聴の仕方が明確ではなかった。今回、ブースで視聴された回数は2回と、ほぼない。それの本質的な原因は視聴方法が「一目で」「明確に」伝わらなかったからである。僕は今回、スマホにイヤホンを刺した状態で机に置いていた。これは甚だ最悪な方法であった。視聴していいのか、手に取っていいものなのかを聞くプロセスが必要となる。一方、ヘッドホンを設置しておけばとても分かりやすい。サイズも大きいので目につくうえ、多くのサークルがヘッドホンだからである。また、タブレット機器を使ってプレイリストをわかりやすくしているサークルもあった。次回はそれも参考に準備したい。加えて、タワーレコードが視聴用のヘッドホンがそこそこ良いものを使っているように視聴用のヘッドホンはよりよいものにすべきかもしれない。要するに、聴きたいと思わせる、音源に対する期待値を高めるために必要なことである。
足を止めてくれない
②において説明したように、大規模なサークルにおいては足を止めるように工夫がされていると感じた。足を止めるために、空間を演出することを念頭に置いて準備したい。また、人の足を止めるために客の流れを作ることも肝心であると感じた。実際のところ私のサークルでも、フリーの頒布物を置いておくことで人の流れをある程度維持することができた。また、向かい側のサークルさんのCDが沢山売れているのをずっと見ていたのだが、正直それで購買意欲がとても湧いた。後で買おうと思ったら売り切れた。お隣さんのサークルも売れていたのだが、それもまた購買意欲が湧いた。買った。
コンセプトがわからない
イラストを机の上に配置するだけで終わってしまった。販売するものに対する説明が理解できる仕組みは一切用意していなかった。というのも、視聴してもらえれば、その説明の必要がないからである。しかし現実は視聴すらされないのである。であるから販売するものがどのようなものであるのかを一目で想起される必要があるのである。コンセプトを表現するための皿としてブースを「創る」必要があるのかもしれない。単純にモノを売る場所としてではなく、空間を使って作品を作る気持ちで次回は取り組もうと思う。
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