コストを固定した制作によって圧倒的成長【時短】

持論です。

 ここでは、制作能力はスピード、技術、思考力の3つによって構成されているとする。
技術を向上させることは比較的だれしもが行き着く目的の一つである。例えば、「絵をうまく描きたい」というのはこれに相当する。しかし、スピードはどうだろう。早く作業を進めたいと思ったなら、反復練習によって解決しようとする。それによってどれくらい制作のスピードは上がっただろうか?どれくらい効果があったのだろうか?スピードは技術・思考力にも依存している。たとえ技術や思考力が向上しても、スピードはさほど上がらない(作品あたりに費やす時間は寧ろ増える可能性がある)。なぜなら、技術・思考力の中にはスピードを犠牲にしているものがあるからである。よい作品を作るためにはそのような犠牲は当然必要となってくる。スピードを上げることは作業を高速化するのではなく、無駄の排除によって上げる方法が適切である。
 ここで、制作にまつわるコストについて記す。制作に関わるコストには大きく、金銭と時間の二項目がある。ただし、金銭は人手を増やすなど、主に制作時間を減らすために使用されるため、本質的には時間のみが制作に関わるコストと言える。とはいえ、金銭はあらゆるシーンにおいて制作時間を大幅に削る可能性があるため、分けた方が都合がいい。時間が枠組みであり、金銭が戦術(方法)であると解釈するとよいだろう。
 コストを固定化する(制作前にコストをあらかじめ設定し、厳密に守る)ことは制作スピードを意識するうえで効果的な可能性がある。

時間・金銭・問題・成長の概略図

時間を固定することについて

 時間を固定化すると、作業は早くなる。時間を固定することはマラソンを走ることに等しい。走者はトレーニングするのみではなく、ペース配分を考慮することになる。これは思考力に関する遊びを減らすことだと私は考える。あらかじめどのように走る(ことが可能である)かを距離(時間)によって設定することで、考える回数を減らすことにつながる(それによって思考力を温存できる)。

 また、断腸の思いで制作に取り入れることができなかった要素が発生することがあると思う。時間を固定化することのメリットはここにある。取り入れることができなかったものこそが、本質的に制作外で反復練習すべきことである。それを解決し、取り入れることができれば、時間を固定化したまま作品の質を向上させることにつながる。またこれを応用することで、時間をモジュール的に扱うことができるようになる。マラソンのタイムの短縮もある程度のところで打ち止めになることは直感的にわかるだろう。その時間を単位モジュールとして扱い、モジュールの規模を製作開始時に設定することで無駄のない制作が実現できる。例えば、どうしても取り入れたい要素がある場合、それを取り入れるための時間として、制作時間を拡張することが望ましい。

 どれくらいの制作時間に固定するのが適切か?に対して、ベストな回答はできないが、直感的に答えると、いつも通りで良いと思う。つまり、いつも以上に制作に長い時間を費やさないようにすることが、まず意識的に行われるべきだと思う。それに慣れてきたら、少しづつ縮めていくと良いだろう。

金銭を固定することについて

 金銭を固定化することは、作業を効率化することに影響がある可能性があるが、その制作においては、作業は効率化されない。マラソンに例えると、裸足で走ったり、水分を過剰に多く(少なく)したり、明らかにタイムを縮めるために行われる行為ではない類のものだ。しかし、適切に行えば意味のある行為となるだろう。例えば、砂浜でマラソンを行うことで、体力・体幹を強化することができる。それと同じように筆を安いものに変えることで無意識でできた部分を意識的に修正したり、楽器の数を減らすことでアレンジを見直すことができる。効率化に大きな影響を与えないが、質的な向上により、相対的に速度が上がることにつながる。

 また、何が不便な点であるかを意識する上でも重要なことであると思う。何が不便である(これは本当に必要な作業プロセスであるか?)を知ることによって、それを金銭によって解決することにつながる。

制作を早く行うことにどのような意味があるのか?

 制作を行い、その1サイクルで我々は経験値を獲得し、より良い作品作りができるようになる。そこをさらに掘り下げると、そのサイクルの中で問題点を見つけ、それをクリアすることによって作品の質を向上させている。なので、本質的な問題は制作時間ではなく、時間当たりに幾つの問題を見つけることができるか、なのである。不用意な制作時間の拡張は制作スケジュールの狂い、ひいてはモチベーションの低下に直結する。どうしても時間をかけて取り組みたくなることがあると思うが、問題発見に貢献しないため(時間短縮のない品質向上が行われる)、その気持ちは練習に持ち帰って解決してほしい。制作では、問題解決以上に問題発見を目的とするべきなのである。

 また、制作時間を減らすことによって、制作にさほど貢献しないであろう、一見無駄に感じるインプットに時間を費やすことができる。つまり心の余裕を生む。そのようなインプット(旅行のようなもの)は先ほどまでの姿勢と反していると思うかもしれないが、尊重すべきである。

作品の質を向上させるための方法として取り入れていただけると幸いである。

投稿者: beefst

機械工学,クリエイターをしています.読書も好きです.

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