2022冬アニメを振り返る【ネタバレ配慮】

 最近過去のアニメに限らずインプットが多すぎて、見たアニメを振り返る機会が減っている。そのため、振り返りがてら備忘録を書いている次第であります。あ、いいアニメは2回見ましょう。本当に楽しめるのは2週目だと思う。

 点数はおすすめ度です。主観的に面白いと思った度合いでもありません。あくまで、より多くの人にとって面白いであろうという作品ほど高く評価しています。また、放送された単位での評価です。例えば、12話で原作の途中まで進み、原作では13以降面白くなるとしても、そのことを一切考慮しません。

100点:歴史的に残るアニメ

90点台:多くの人にお勧めできるアニメ

80点台:やや人を選ぶアニメ(好みじゃない人が見たとしても楽しめる)

70点台:好きな人は好き

60点台:普通におもしろいけど、良くも悪くも平凡

60点以下:僕は好きじゃないかも

全体的な感想

 とてもクオリティの高い作品が多いクールだったと思います。そのなかでも平家物語、明日ちゃんのセーラー服、鬼滅の刃は特に印象的です。平家物語はレイアウト・色彩設計がすばらしいと感じました。明日ちゃんのセーラー服は描写のディテールだけでも面白いアニメだと思う。鬼滅は言うまでもなく、戦闘の作画枚数おかしいし、テクスチャ使い過ぎ。あまりの作業量で死人がでなければいいのだけれど……。

 キラーコンテンツが多すぎる……。僕はかなりシビアにアニメを切ってるはずだけど、結局今期は何作品も追ってたからなかなか歯ごたえがあったw。しかも春アニメに向けて本好きの下剋上を見ようかなって思って見始めたり、サニーボーイを見たり、efを見たり、NHKにようこそ!を見たりしてました。すべて面白かったです。

進撃の巨人 Final(2クール目)

100点

 毎回が神回。積み重ねが前提にあるとしても毎週神回にできるのは正直うらやましいほど。前クールは3Dがいまいち生かし切れていないと思っていましたが、今期は個人的にかなり改善されていると感じました。セリフが重たい。お互いがお互いの信じるものがあり、その立場の思想を理解しつつも、弱さが今の立場に居続けることを許している……というのがこのシーズンの書きたいものかと思う。主人公は弱さに負けたポジションにあると考えている(側近がそうであるように)。そのほかの主要なキャラ達は全体的により良い結果になるように向かって手を取るのが対比的に描かれています。そしてこの作品の素晴らしいところは、これらのキャラは同じ目標でありながら、原動力が異なることで、それを描いていることだと思います。例えば副主人公(主人公の対比?)のポジションであるジャンは弱さに屈し、弱者の声を聴こうとしないようにしましたが(本質的に心は屈していないけど、自分を悪い方向になだめている状態)、葛藤しているときに悩ませる時間を与えられずに行動することになる(そのため弱さに屈することができなかった)。あるいは、モブのコニーは隣人と家族を天秤にかけて隣人を選択し、そのまま姿勢を正しました。自分の中にある善の心と各キャラがどのように向き合っているのかがわかるというわけです。それくらいキャラが立っているからこそキャラが思想のドッジボールをしてるわけです。主人公が多すぎるアニメでもある。

平家物語

95~100点

 丁寧、わかりやすい、美しい、古典をアニメにする覚悟を感じる作品。点数を決めきれなかったのは、(厳密には違うかと思うけど)オムニバスであったり、時間の跳躍が多いため、見る側の負担がやや大きいことがあったから。ただ、そんなことを気にせずに平家の宿命を見守るアニメだと思いました。うん100点のアニメだよ。一つのストーリーを追うのではなく、その瞬間の心の揺れ動きだったり、きらめきの表現がいいよねー。こういう脚本は素人にはできないよー。

 動画に関してはどのカットをとっても絵として成立し、かといって止め絵が多いのかというとそうでもなく、動きすぎているほど。色に関しては、レンジが広く(朝夕夜のそれぞれの良さを感じる!)、彩度は高めで、ポップな色でありながら、時代背景的に自然色が多め。かといって色が少ないわけでもない。イベント(戦のカットや、水)をうまく生かして画面を賑わせている→それぞれが重要な場面であることを強調する意味もあるのかも。あと、朱(びわの服)が色全体を引き締めているの好き。

明日ちゃんのセーラー服

90点

 フェチアニメ。登場人物みんながキラキラしてて、優しくて好き。そんな夢のような空間ですけれど、それとは対照的に描写がリアルに描かれています。一挙手一投足の作画に意図はなくても意思があるというか、描きすぎというか、そんな感じ。描写密度が高いため、キーポイントがわかりにくくなりそうなところを、宗教画と一部界隈で呼ばれているリッチな描画に変わったり、音楽で抑揚をつけているのがいいですね。リアルな描画とは言いましたが癖のあるキャラデザインです。キャラの数が多いため特徴的にする必要性があったのだと思いますが、そのデザインは表情を映えるように作られているように思います。僕は笑った時の表情が、誘われて笑ってしまうくらいには好きです。

その着せ替え人形は恋をする

85点

 今期のバズり枠?いい具合のこじんまり感(身内感)が好き。今季は全体的に感じたことだけれど、キャラが最初から完成してる作品が多いね。この作品もそうだけれど、主人公は幼いころからの努力が別のフィールドで開花する。また、その過程で周囲の人物の心が揺れ動く……というのが大雑把なシナリオ。僕は成長物語大好き人間なのであんまり心に来なかったね。とはいっても、描写力は卓越していて、素晴らしいと思います。また、作中劇が無駄にそれっぽかったりするのがいい。

ハコヅメ~交番女子の逆襲~

80点

 今季のダークホース枠……ってこともないか、ドラマもやってたし。最終3話を除き一話完結のアニメ。前半は界隈あるあるが多い印象ですが、後半に向かうにつれて人間ドラマが多くなっていく印象があります。主人公は仕事から逃げたいと思っているわけですが、先輩の圧力によってなかなかそうはできず、むしろ追い込まれることが多いです。一方でその先輩はその後輩のことをなんだかんだ可愛がっており、少し甘やかすことがあります。刑事課の男2人はその先輩と因縁があるようで……。この作品の魅力は筋の通ったメッセージ性がなく、そのために自由に作品を作れているということです。ほっこりさせたり、シリアスに描いたり、また笑えるように描いたり、人間ドラマを描いたり。これができるのはいいキャラ設計ができている証だといえるでしょう。

ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン

80点

 いままでと同じようなジョジョです。ただし主人公が女性。ジョースター家特有の正義感があってかっこいいですね。6部では戦闘向けとは思えない地味な能力を持った同士での戦闘が多いと感じます。やっぱり承太郎さんみたいな殴って解決するパワータイプがいないとスカッとした感じにはならないね。でも、すごみがあればそれでOKです。また、例によって魅力的な仲間を作るけれど、その仲間は相手との相性や使い勝手の問題で出てきたり消えたりします。キャラのパリコレみたいでそれはそれで面白いけど、話の積み重ねによる深みがないのがなんとも。

鬼滅の刃 遊郭編

75~80点

 戦闘すごいねー。売れると確信しないとこのクオリティにはできないし、売れるとわかっててもこのクオリティに仕上げるのは無理じゃないかな……普通は。回想の反面教師のような作品。

怪人開発部の黒井津さん

75点

 戦隊モノのメタ的作品に(ブラックな)企業あるあるや皮肉を足した作品。主人公はタイトル通り、悪役サイドです。敵であるヒーローを討つために試行錯誤して怪人を制作するのに奮闘する……というのが大雑把なシナリオ。ただし、ヒーローにはいわゆる主人公補正というものがあり、どうしても勝てないのでは?と思えるくらい怪人と戦力差がある。そんな中、アプローチを変えたり、敗因を分析して少しづつ差を縮めていくのが面白い。また、実在するローカルヒーローもでてきます。話に深く絡みはしませんが、なんかうれしい。

 作画はとろけ気味。ただし、本質的には会話劇であるので、気にする必要はない。戦闘も迫力があるかというと、うーん。というか他の作品が高すぎるだけって感じもある。

プラチナエンド(秋から継続)

70点

 死にたい人たちで集められてやるデスゲーム……なのですが、後半からは戦ったり戦わなかったりする。そして彼らは幸せについて考えます。デスゲームは頭脳戦っぽい感じがあるのですが、ゲームバランスがうまく調整できていないように思います。そのため、筋書きをキャラがなぞっているような感じがする(あまりに主観的な意見で申し訳ない)。で、デスゲームですから、当然のように魅力的なキャラ達もフラグを建てて即死して退場していく。幸せについて考えることについてですが、僕自身ぐるぐる考え込んだ経験があるので、共感こそあれど脚本としては今一つ話が進展しないなぁと思わされます。答えのない問題について考えることは意義のあることですが、会話劇では無味乾燥になってしまうのは当たり前のことです。言葉に説得力を持たせるような出来事によって表現するほうが魅力的な話になるのではないかと思いました。

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投稿者: beefst

機械工学,クリエイターをしています.読書も好きです.

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